丸花屋

アクセスカウンタ

zoom RSS 蕎麦屋の失敗

<<   作成日時 : 2015/10/26 12:07  

トラックバック 0 / コメント 0

東京都麺業連合協同組合では「日本そば新聞」という業界紙を毎月刊行しています。
その紙面に二年ほど前から、そば屋の在り方などについて大変興味深い記事が掲載されていることをある伝から知りました。「麺環かながわ」編集部としては、この記事をぜひとも同紙に転載したく「日本そば新聞社」に連絡を取りました。 不定期に掲載されたこの記事には寄稿者が書かれておらずその旨を話したところ、坂口晃生という方が書かれたものだと教えていただきました。 早速、同氏に連絡をしていただき転載の了承を受けていただきました。
今回掲載する記事は紙面の都合上、麺環かながわ編集委員が編集したものです。坂口先生の意向を尊重し原文の主旨を変えないように細心の注意を払いましたが、もし、その内容等に不備がありました時にはご了承いただきたく存じます。
(次号にも掲載予定。今回の記事は平成25年5月号に掲載されたものです)
お客様の
 目線に立って
 繁盛しているそば店の店主は自分の店を客観的に見ることができます。つまり店主自身が自分の店を客からの目線に立って見て、どのような店なのかをしっかり掌握出来ているという事です。それによって店で必要なメニューやサービスを判断してお客様に提供するということが出来ます。
 来店されるお客様は、店の隅々まで観察しています。
 たとえば、薬味に「本わさび」を出している店が有るとします。客側からとってはその高級志向の店に期待感が広がります。
 お店では、勿論その都度きちんとわさびを擂りおろして提供しているのですが、その作業がそばを茹でる前から擂りおろしてあるか、お客に提供する直前に擂りおろすかでその意味が変わってしまいます。もしそばを茹でる前から用意してあったのなら折角のサービスが「風味が飛んでしまうのではないか」というマイナスイメージをお客様に与えてしまいます。いつどうやって「わさび」を擂っているのを見ているお客様が結構いるということを認識して下さい。
 自分が自分のそば屋に来店したという想定で客席に着いてみるといろいろ見えてくるものがあります。
「お茶を下さい」上がりに良く請求されますがこのお茶を出すタイミングや、方法などにもちょっとした気遣いが必要です。追加としてお茶を頼まれた際に半分ぐらい残っている湯のみに熱いお茶を継ぎ足しはしないでしょう。冷たいお茶のサービスならいざ知れず温かいお茶の注ぎ足しはご法度です。この場合は、新しい湯呑に熱いお茶をお持ちして、前の湯のみは下げる、という方法が正解です。お客さまがどう思われるか常にお客様の立場になって考えれば自ずと正しい接客サービスが導かれます。
 また、ほんのちょっとした気遣いや気配りが、お客様を感動させ店の評価を高くすることにも繋がります。常にお客の目が店を見ているという事を忘れないでください。今日もいろいろなところを観察されています。
 厨房の中が少しでも見えるのであれば仕事ぶりやちょっとした仕草なんかは常に見られています。
 トイレの中は、特に女性のお客様に念入りなチェックが入ります。
 ホールスタッフの無駄な会話や動きも事細かにチェックされているはずです。
 一通りの視覚的な店の評価が下された後に、蕎麦の味覚としての評価が下されます。 ここに気になることが一つでもあれば再来店を望むことは難しくなります。
期待以上の美味しい蕎麦が提供されれば多少なことには目を瞑ることは有るでしょうが一般的に、お客様はトータル的な見方をされた中で店を評します。
店にどの程度のバランスが保たれているかという点での相対的評価となるということです。この評価が高ければ、何度も店に足を運んでくれる常連さんとなって頂けるでしょう。
自信過剰から
   陥る危険
 商売が上手くいかなくなってしまう原因の中に、店主の自信過剰と云うのが有ります。
 蕎麦打ち技術はあるけど売り上げが伸びない。こういうお店がそれに当たります。それは、商品以外の部分に目が行き届いていないという事が原因です。技術に自信が有ればある程陥り易い危険な原因でもあります。そういう方は自信が有るから「旨ければそれで良い」との思い込みから他の部分に対して努力を惜しむと云うより目を向けない傾向にあります。また、それしか頭にないという事も言えます。
 勿論、技術だけで商売が成り立っているお店も有ることは事実ですが、独り合点のモノの捉え方は、いくら美味しい蕎麦を提供しようと所詮、自意識の過剰というか商売の本質を見極めない理屈だけととらわれてしまいます。
 そうならないために日頃より気を付けなくてはならないことが「常に客側の立場になって」考えると言う事です。  
当たり前の様な事に意外と気が付いていないこと多々あります。「こんなことくらい、何でもないや」と見過ごしてしまうところに落ちし穴が潜んでいたりもします。
個人店に
 望まれる接客
 ファミリーレストランの様な規模的に大きな業種には、
接客のためのマニュアルがあります。これは多人数のホールスタッフが同一のサービスを行うために必要なものと思います。
 しかし、このマニュアルを皆さんが経営しているお店に活用しようとしても、全く機能はしないと思います。これは、ただ規模が違うからというだけの問題ではなく、例え、その接客術をきちんと判断し、または分析して自分のお店に置き換えたとしても同じで、お客様が個人店に求めているサービスの質が違うという理由からです。
企業が経営するお店と個人経営のお店では色々な面において違いあります。
企業経営の大型店では、もし店長と調理長との関係がうまく行っていないとしてもその店の営業には全く関係なく店は存続していくことでしょう。
個人店の場合はそうは行きません、主人と奥様が喧嘩でもしていたら店の空気はハッキリと変わり、居心地の悪い空間と様変わりしてしまいます。そこにバイトさんでもいて、そんな光景を見せられたら仕事のやる気も失せてしまうでしょう。当然、そんな時に来店したお客様は最悪です。とてもいい気分でそばを食べる気にはなりません。お店の評価はガタ落ちとなります。こんな些細なことでも個人店では営業に関わった大きな問題となります。
企業形態の店舗では、調理から接客まで、ほとんどのことがマニュアル化されて、効率や能率を最優先、経営者が管理しやすいようにシステムを構築した営業を行なっています。
 もし、個人経営の店舗でそこまでやってしまったら、かえってギクシャクしたお店になってしまいます。
 規模のそれほど大きくない中型店で全てマニュアル化し、従業員がまるでロボットのように画一化した動きや言葉使いで動いているようなお店があります。ファミレスやファーストフード店を狙った感じなのですが、個人店の良さが全く見えずに、アピールするどころか悪いイメージを植えつけてしまっているケースもあります。
 消費者(お客様)は個人店にそんなものを求めているわけではありません。人と人(お客様とスタッフ)との心が通じる接客、コミュニケーションや行き届いたまごころサービスを望んでいます。
 ここが企業形態の大型店では真似のできない、個人店との一番大きな違いです。
 このような個人店にしか出来ない小回りの効いた部分を大いに活用して、飲食店として、またサービス業としても、きちんと捉えているお店が成功を収めているのではないでしょうか。

月別リンク

蕎麦屋の失敗 丸花屋/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる